遺言書の注意点
 
 
【注意点】

①債務(マイナスの財産)については,遺言で,

「債務を返済する相続人」や「債務の引受け金額」

を自由に指定することができません。

債権(プラスの財産)は,権利者たる遺言者が好きなように分けることができます。

(遺留分に違反した遺言内容も有効です。相続発生後,遺留分権利者が異議を出さなければ,有効な遺言として確定します。)

 しかし,マイナスの財産については,遺言者は義務者ですので,貸付人に対しては,その効力がありません。

 (例)仲の悪い息子に,遺言で借金だけを相続させようとしても,債権者にはその効力を主張できません。
 
 借金は,貸付人との関係では,遺言は無視され,法定相続分のとおりに分けられます。 
 
【注意点】

②遺言書の形式性・内容性の不備です。

 自筆証書遺言は,自分一人で書く遺言という特殊性から,形式性が厳しくなっています。

 遺言は,効力が発生するのは,遺言者死亡後なので,遺言者に確かめることができません(公正証書遺言も同じ)。

 自筆証書の場合,本人が本当に作成したか(自筆と押印),いつ書いたか(遺言は,一番新しいものが有効)が,重要です。

 つまり,署名だけでなく,全文を自筆で書くこと(パソコンの作成,他人の代筆は無効)。日付が「吉日」だと,無効です。
 
 遺言の内容が不明確だと,遺産を分割できません。

 預金貯金であれば金融機関,不動産であれば法務局が,受け付けません。

 自分が理解できても,第三者である金融機関や法務局が理解できなければダメなのです。

 「どの」財産を,「だれに」,「いくら」あげるか,という部分が,不明確なことが多いようです。
 
【注意点】

③遺言者の判断能力の問題です。

 自筆証書遺言の形式性・内容性に問題がなかったとしても,それだけでは,遺言は有効でありません。

 遺言内容に不満のある相続人から,よく出される批判が,遺言書作成当時,判断能力が欠けていたので遺言は無効との主張です。

(例)遺言書作成当時,遺言者は認知症で入院しており,遺言で得する相続人が,遺言者に無理矢理,誘導して書かせた。
 
 したがって,遺言書作成の後(できるだけ早い時期)に,医師から判断能力についての診断書をもらってくることをお勧めします。

 できれば,遺言書作成の前にも,もらっておくのがよいでしょう。
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